猫が来た

暑い。暑さで目を覚ました私は、いつもは機嫌が悪かった。これはもう、何かの因縁だろう。
だが今日は違った。そう。猫の声が聞こえたのだ。
「ああ」と思った。猫の声を聞くと、機嫌が良くなる。これはもう、何かの因縁だろう。
猫の声を出した声の主を見るため、私は起き上がり窓の外を見た。
そこに、猫は居た。居たと言うより、立っていた。



猫が立つ……だと……?
そんなこたぁない。目をゴシゴシこすって、もう一度その猫を見た。
だが。やはりそこに立っていた。だが、それは猫ではなく猫耳のオッサンだったのだ。
オッサンはニヤリと笑った。そして、そのオッサンが揺らめき始めた。
「お前が見ているそれは、残像よ……」と背後でオッサンの声がした。
そして、俺が振り向くと、化粧の濃いオッサンが立っていた。
体つきは良く、男として、格好いいと思うガッチリとした身体。
すいこまれるようなオッサンの瞳。身体が動かなくなった。



オッサンは私の布団の中に潜り込み、後頭部を殴りつけた。
「やばい、今寝たら……」だが、意識は途切れてしまう。
暑い、暑い、暑い。オッサン暑い。こんな暑いのにオッサンが布団の中に入ってくるなんて……ガクッ
↑に戻る