小森

「私もこの世界が好きでした」と、小森はいいました。「やっぱりきれいです。ゴミもみんな」
「このゴミが?」あなたは小森に問いかけます。
 小森は優しく微笑みました。「いずれ、わかりますよ」
「そんなものなのですか」と、あなた。「そんなものなのです。でも気付いたらもう遅い」
 小森はそう言うと、ブアフー!!と笑いかき消えてしまいました。
「小森さん」
 呼びかけても返事はありません。
「小森さん」「小森さん」「小森さん」
 あなたの周りにいた植物や昆虫、雲までもが小森を呼びます。
「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」
「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」
「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」
「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」「小森さん」
 世界は小森によって振動し、そのまま動きが止まってしまいます。
 人間も植物も昆虫も雲も山も空も全てが固まる。完